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遺言書は必要?(相続登記の費用を減らす方法)

遺言書は必要?(相続登記の費用を減らす方法)

こんな理由から「遺言書は不要」と考える相談者様が多くいらっしゃいます。

しかし、遺言書には、相続の手続きを単純化することで、費用を抑えたり、手続きの期間を短縮するなど、遺族の負担を軽減する特別な効力があることをご存知でしょうか。

遺言書で費用を減らせる?

たとえば、「家と土地を長男が取得する」と相続人の間で取り決めた場合。
名義変更の手続きの際に、「遺産分割協議書」を法務局へ提出しなければなりません。

この「遺産分割協議書」の作成費用の相場は3〜8万円です。

一方、「不動産はすべて長男に相続させる」と書かれた遺言書が残されていた場合。
名義変更の手続きにおいて「遺産分割協議書」は不要となり、この作成に要する費用はかからないことになります。

つまり、3〜8万円の費用負担が減ることになるのです。

また、通常は、亡くなられた方の出生から死亡までのすべての戸籍謄本等を、それぞれの市区町村から取り寄せる必要がありますが、 遺言書がある場合には、死亡後の戸籍謄本(除籍謄本)1通で手続きができるので、その分の手間と費用を抑えることができます。
(専門家に頼むと実費を含めておおよよ1万円程度となります)

さらに、遺産分割協議のために裁判手続きが必要となるケース(後述)においては、裁判手続きをしなくて済むことで10万円以上の費用負担を回避することにもなります。

遺言書が絶対にあった方が良い場合とは?

遺言書がない場合に、相続人の一人に不動産を相続させたいのなら、遺産分割協議書が必要です。
この遺産分割協議書には相続人全員の署名・押印(実印)が必要であるため、次のような場合には特に遺言書の作成が重要となります。

相続人となるべき者の一人が協力的でない
相続人のうちの一人でも協力しなければ、遺産分割協議は成立せず、よって、名義変更の手続きはできません。
その場合、調停などの裁判手続きをすることになり、そのための費用や時間が余計にかかることになります。
相続人となるべき者の一人と面識がない(交流がない)
  • 元の配偶者との間に子供がいる
  • 認知した子供がいる
  • 子供がいないため、自分の兄弟が妻と同一順位の相続人になる
このような場合、相続人は、面識のない(交流のない)相手との話し合いを余儀なくされます。
これは残された相続人にとって、かなりの精神的負担となります。
相続人となるべき者の一人の行方がわからない
この場合、他の相続人は、遺産分割協議を成立させるために、行方の知れない相続人を探さなければなりません。
そして、捜索してもなお、行方が知れない場合には、裁判手続きをすることになります。
相続人となるべき者の一人が認知症などにより意思表示が困難な場合
意思表示が困難な相続人は、遺産分割協議に参加できません。
この場合、成年後見の手続きが必要になります。
これにより、ご本人が亡くなるまで、後見人に報酬を支払い続けなくてはならないという負担が生じます。

また、相続人でない者に財産を残す(遺贈する)には、遺言書を残す必要があります。

遺言書の書き方は?(自筆証書遺言)

遺言書における、法律上の要件は以下のとおりです(民968)。

上記の要件が満たされていれば、用紙の大きさ・種類・色、文字の色などにかかわらず、有効な遺言書が成立します。

なお、本人以外の別の者(配偶者等)と連名で作成した場合や、特定できない日付(「令和元年1月吉日」等)が記載された場合には、遺言書が無効となるので注意が必要です。

また、内容についての制限はありませんが、偏った配分によって相続争いにならないよう、遺留分等に配慮することがとても重要です。

司法書士は何をしてくれるの?

遺言書の作成を司法書士が支援する内容は以下のとおりです。

残された遺族は、葬儀などの他、さまざまな手続きに追われることになります。
相続財産に関する手続きにおいては、遺族の費用負担のみならず、精神的負担を伴うものもあります。
遺族の負担を軽減を見込める場合には、遺言書の作成を検討されることをお勧めします。